こんにちは。アオイとケンスケです。
今回のテーマは、野球の中でもちょっと難しそうに聞こえる「盗塁(とうるい)」についてです。
この記事では、小学生のお子さんや、野球をよく知らない保護者の方にも分かるように、盗塁の基本からルール、コツや練習方法まで、やさしく・くわしく解説していきます。
執筆者&監修者の紹介
執筆者:野球素人ママ「アオイ」
◇30代、ワーママ(子どもは小学生の男の子1人)
◇趣味は「子ども」と「仕事」。平日はとっても忙しい!
◇野球は全くの素人!(学生時代はテニス部)
インタビュー・監修:野球指導者パパ「ケンスケ」
◇30代、全年齢対象の野球パーソナルトレーナー!指導歴は10年以上
◇小学3年生から野球を始め、現在も草野球プレイヤー
◇過去には学習塾の先生をやっていたこともあるため教え方はピカイチ!
◇かなりコアな知識まで豊富な野球オタク
盗塁の基本的なルール

盗塁は少年野球でもプロ野球でもルールは変わりません。
そもそも「盗塁(とうるい)」ってなに?
盗塁とは、ランナーが相手のスキを見て、次の塁へ進もうとするプレーのことです。
たとえば、一塁にいるランナーが、ピッチャーが投げたスキに「今だ!」とスタートして、二塁に向かって全力で走る。これが盗塁です。
キャッチャーの送球よりも早く次の塁にたどりつければ「セーフ」!
ピッチャーから牽制をされたり、キャッチャーからの送球のほうが早いと「アウト」になってしまうので、勇気と判断力が必要です。
なんで盗塁をするの?
「わざわざアウトになる危険をおかさなくてもいいのでは…?」と思うかもしれませんが、盗塁にはこんなメリットがあります!
・次の塁に進むことで、点を取りやすくなる
・相手チームにプレッシャーをかけられる
・流れを変える大きなチャンスになることも!
つまり、盗塁は「チームを助ける作戦」でもあるんです。
盗塁はいつできるの?
ルール的には、プレイがかかっているときはいつでも盗塁できますが、ピッチャーが足を上げた瞬間にスタートするのが基本です。
そのほかにも、キャッチャーが捕った瞬間など、相手の意識が向いていないタイミングでスタートする「ディレード・スチール」、ピッチャーが足を上げる前に走る「ギャンブルスタート」などがあります。
また、盗塁は「●回までしかダメ」というルールはないため、ファウルになったとしても何度もスタートすることができますが、相手にも読まれやすくなるので注意が必要です。
三塁からホームに盗塁することはできるの?
できる!これを「ホームスチール」と言うよ。※詳細は後程
でも、成功するのはかなり難しいから試合で見る機会は少ないかな。
盗塁に失敗するのはどんなとき?
盗塁に失敗するのは以下のようなケースが考えられます。
・ピッチャーにけん制(牽制)されて戻れずアウト
・キャッチャーにすぐ送球されてタッチアウト
また、ピッチャーの暴投やキャッチャーのパスボールで塁に進んでも、それは盗塁とは記録されません。
基本的には、相手のエラーに関係なく塁をおとしいれたときのみ「盗塁」となります。
「暴投による進塁」「パスボールによる進塁」という記録になるよ。
相手側のエラーという扱いだね。
実はこんなにある!盗塁の種類

盗塁は大きく分けて3種類あります。
少年野球でも、ディレードスチールやダブルスチールは練習すれば成功することも多いので、チームプレーの練習として採用しているチームもあります。
ホームスチール
成功しづらいためあまり見られないプレーです。
どんな盗塁?
三塁にいるランナーが、ホームへ盗塁することです。
ピッチャーの投球と同時にスタートする場合や、キャッチャーからピッチャーへの返球の隙をついてスタートする場合があります。
どんなときに使う?
・ピッチャーがゆっくり投げたり、ランナーをあまり見ていないとき
・キャッチャーからの返球が遅いとき
※スクイズを行おうとしたが、バッターが空振りしてそのままランナーがセーフになったときも「ホームスチール」が記録されます。
「スクイズ」は三塁にランナーがいるときに、バッターがバントをして、その間にランナーをホームに返す作戦のことだよ!
特徴・難易度
・成功確率は低いが、成功すれば超カッコいい!相手にも与えるダメージが大きい
・一瞬の判断力と思い切りの良さが必要
ランナー三塁の場面は普通に打っても得点の確率は高いので、むやみにホームスチールを狙うのは危険!
試合展開やバッターの打力、状況を判断することが大切だよ。
ダブルスチール
チームプレーが光る盗塁です。
どんな盗塁?
ランナーが2人以上いて、同時に盗塁を仕掛けるプレー。
例)一塁ランナーが二塁へ、二塁ランナーが三塁へ同時にスタートする。
どんなときに使う?
・ランナーが1・2塁にいて、一気にチャンスを広げたい場面
・守備の連携ミスや判断ミスを誘って、2人ともセーフになる状況を作りたいとき
特徴・難易度
・チーム全体の連携プレー!サインミスがあると確実に失敗するので注意。
※ランナー1,3塁の場面で、一塁ランナーが先にスタートし、キャッチャーからの送球の間に三塁ランナーがホームを狙うプレーもあります。
ディレードスチール
相手が油断したすきに突然走る、かけひきが大事になる盗塁。
どんな盗塁?
一見盗塁しないように見せかけておいて、あえて遅れてスタートする盗塁。
ピッチャーやキャッチャーが油断したタイミングを狙います。
例)キャッチャーが投球を捕ったタイミングなど、相手が盗塁を警戒していないときに意表をついてスタートする。
どんなときに使う?
・相手の守備がゆるんでいる場面
・キャッチャーがボールを投げ返すときに無警戒だったとき
特徴・難易度
・普通の盗塁よりもかけ引きの要素が強い
・足の速さだけでなく、「相手を観察する力」「タイミングを見極める頭脳」が重要
比較表
種類 | 特徴 | よくある場面 | 難易度 |
---|---|---|---|
ホームスチール | 三塁→本塁へ一気に走る | ピッチャーやキャッチャーが油断しているとき | ★★★★★(かなり難しい) |
ダブルスチール | 2人同時に盗塁 | 1・2塁など、複数ランナーがいるとき | ★★★★☆(中~上級) |
ディレードスチール | あえてタイミングをずらす | 相手守備がゆるいとき | ★★★☆☆(中級) |
盗塁を成功させるコツ

「足が遅いから盗塁なんてムリ…」と思っていませんか?
実は、盗塁は「スタート・タイミング・判断力」次第で成功するプレーです。
もちろん足の速さもあれば有利ですが、それだけに頼らない「頭を使う走塁」こそ、成長のチャンス!
【スタートのタイミング】が命!
盗塁の成功・失敗を分ける最大のポイントが「スタートのタイミング」です。
ピッチャーが投げ始めた“ほんの一瞬”のスキを見逃さず、すばやくスタートを切ることが重要です。
ポイントは「ピッチャーのクセを見抜く」こと!
【見るポイント】
・ピッチャーが足を上げた瞬間に動くと成功率が上がる
・けん制(塁に投げるふり)を何回もやるタイプかどうかも観察
・投球フォームに特徴があるピッチャーはねらい目!
「クセを見抜く力」も盗塁の武器になります。
【リードの取り方】を覚えよう!
リードとは、塁から少し離れて立っておくこと。
この「リード」の距離とタイミングも、盗塁を成功させるための大事な準備です。
リードのポイント
・自分の身長+手を伸ばした長さ+1,2歩が目安
※牽制に反応してヘッドスライディングで戻る際にちょうど良い広さ
・牽制がうまい投手のときは小さめにリードをとることも
すぐにスタートを切れる“構え”が大切です。
【スライディング】でアウトを避けろ!
塁に滑り込む「スライディング」も、盗塁を成功させるために欠かせない技術です。
スライディングのポイント
・ストレートスライディング(足からまっすぐ滑る)が基本
・ベースの手前で止まらないように、滑る角度とスピードを意識
・タッグ(タッチ)を避けるためにヘッドスライディング(頭から滑る)やフックスライディング(横からかいくぐるように滑る)も有効
地面のコンディション(ぬかるみ・砂ぼこり)も影響するので、事前に確認しておくと◎
少年野球では、仲間の声かけや雰囲気も大事!
ベンチから「今いけるよ!」などの声を出すと本人のプレーの自信につながることもあるよ。
小学生向け!盗塁の練習方法

初心者の子どもでも、楽しく練習できる方法を紹介します。
ベースランニングの練習(まずは走る力をつける)
盗塁に必要なのは「一瞬でトップスピードに乗る力」。
そのためには、ベースランニングを使って体の動かし方と加速の感覚を身につけましょう。
練習例
【ベース一周タイム計測】 1周を何秒で走れるかチャレンジ!
【二塁まで全力ダッシュ】 一塁から二塁へ一直線に走ってみる
【スタートだけ練習】 一塁ベース上から3歩リード → スタートだけ素早く切る
走るだけでも「遊び」になる!
タイムを競ったり、じゃんけんで順番を決めたりすると楽しいですよ。
合図を聞いてすぐにスタートする練習(タイミングのトレーニング)
盗塁成功のカギは「スタートのタイミング」。
反応を鍛えるには、「合図でスタート」の練習が効果的です!
練習例
【合図スタートゲーム】
コーチや親が「ヨイショ!」などの掛け声をかけた瞬間にスタート!
フェイントで「ヨイチョ!」なども混ぜると反応力UP!
【音スタート反応トレ】
手を叩いたらスタート、笛が鳴ったら止まるなど、「音」で反応する遊びを取り入れる
遊び感覚で「聞いて→すぐ動く」反応力を伸ばすのがポイントです。
実際の試合のように「盗塁のマネごと」をしてみる(ゲーム感覚を養う)
練習だけでなく、「実際の動きに近い形」で経験を積むことも大切です。
チームメイトや家族で簡単な“盗塁ごっこ”をしてみましょう。
練習例
【盗塁チャレンジミニゲーム】
一塁ランナー役・ピッチャー役・キャッチャー役を決めて、盗塁にチャレンジ!
成功したらポイントGET、失敗したら交代!
【けん制ドキドキゲーム】
けん制球(フェイクでもOK)を入れながら、ランナーはスタートを狙う。
「いつけん制が来るかわからない」ドキドキ感を楽しみながら練習!
【キャッチャーの送球練習も兼ねた盗塁練習】
盗塁にチャレンジ → キャッチャーは二塁へ送球してアウトを狙う。
お互いにレベルアップできる実戦練習です。
「盗塁していいんだ!」という成功体験を重ねることが、子どもたちの自信になります。
さいごに
少年野球では、ただ走るだけでなく、「タイミング」「観察力」「勇気」が盗塁成功のカギです。
プロ野球選手の中にも盗塁の名手がたくさんいます。
ぜひ動画などを見て、動きやタイミングを研究してみてくださいね!
【おまけ】見て学ぶ、盗塁名手
盗塁の名手として有名な選手を紹介します。
上手な人のプレーを見るのも立派な練習!
プレー動画を見ながら自身の盗塁技術向上を目指しましょう。
日本(NPB)の盗塁の名手
福本 豊(ふくもと ゆたか)
元阪急ブレーブス ※現オリックス・バファローズ(1969~1988年)
通算盗塁数:1065(※日本プロ野球記録/当時の世界記録)
特徴:圧倒的なスピードと盗塁センスで「世界の盗塁王」と称される存在。
赤星 憲広(あかほし のりひろ)
元阪神タイガース(2001〜2009年)
通算盗塁数:381
特徴:俊足を活かして5年連続盗塁王を獲得。小柄な体格ながらインパクトを残しました。
メジャーリーグ(MLB)の盗塁の名手
リッキー・ヘンダーソン(Rickey Henderson)
元オークランド・アスレチックスなど
通算盗塁数:1406(※メジャー&世界歴代1位)
特徴:スピード・スタート・度胸すべてが超一流。盗塁の「神様」として知られ、今でも語り継がれるレジェンド。
ルー・ブロック(Lou Brock)
元セントルイス・カージナルスなど
通算盗塁数:938(当時のメジャー記録)
特徴:1970年代に活躍。盗塁によって得点を生み出す「攻撃的なリードオフマン」の象徴的存在でした。