夏の高校野球・甲子園が始まりました。
正式名称は「全国高等学校野球選手権記念大会」。
子どもが野球をやり始めるまで野球を全然見ていなかったので、それすら知りませんでした(汗
第105回を迎える今回の大会は2023年8月6日(日)から17日間かけて行われます。
甲子園って少年野球やプロ野球と何か違うの??
そんな疑問を抱く中、甲子園には「コールド」という制度がないという情報を発見!
普通に考えたら、特に夏場の暑い中は熱中症のリスクもあるし早く終わるに越したことはないのでは…と思ってしまったのですが、ちゃんと理由があるようです。
我が子も甲子園を目指しているので、今回は甲子園の基礎知識を付けるべく、甲子園にコールドがない理由に迫りたいと思います。
執筆者&監修者の紹介
執筆者:野球素人ママ「アオイ」
◇30代、ワーママ(子どもは年長さんの男の子1人)
◇趣味は「子ども」と「仕事」。平日はとっても忙しい!
◇野球は全くの素人!(学生時代はテニス部)
インタビュー・監修:野球指導者パパ「ケンスケ」
◇30代、全年齢対象の野球パーソナルトレーナー!指導歴は10年以上
◇小学3年生から野球を始め、現在も草野球プレイヤー
◇過去には学習塾の先生をやっていたこともあるため教え方はピカイチ!
◇かなりコアな知識まで豊富な野球オタク
コールドゲームの意味とは?
そもそもコールドゲームの意味はご存知でしょうか?
コールドゲームとは、何らかの理由により試合続行が難しくなった際に、審判の判断で途中で打ち切られた試合のことを言います。
野球のコールドゲームは大きく分けて2つに分けられます。
ポイント
❶得点差によるコールドゲーム
⇒得点差が開きすぎた場合に試合終了となります。
❷悪天候・日没によるコールドゲーム
⇒天候や天災などにより、審判が「試合続行が不可能」だと判断した場合に試合終了となります。
※2022年からは、継続試合として翌日以降に試合を行うことになっています。
プロ野球
選抜高等学校野球大会(硬式)
全国高等学校野球選手権大会(硬式)
全国高等学校軟式野球選手権大会
(※高校野球地方大会の決勝戦)
これらの大会では、得点差コールドゲームは採用されていません。
9回裏まで得点差がつかなかった場合は、延長戦に突入します。
ただし、高校野球の地方大会(※決勝戦以外)では、点数差によるコールドゲームが適用されます。
延長戦のルールは大会によって規定が異なるので、注意しましょう。
高校野球でコールドゲームとなる2つの条件
高校野球でコールドゲームとなる場合も、「コールドゲームの意味とは?」の項目で触れたとおり、得点差と悪天候が要因です。
さらに詳しく高校野球の場合を掘り下げて見ていきましょう。
得点差によるコールドゲーム
得点差によるコールドゲームは、実際にどれくらいの得点差がついたらコールドゲームが成立するのでしょうか?
高校野球ではきちんとコールドゲームに関する点差の規定が設けられています。
何回終了時点で何点差がついていたらコールドになるのかは、以下の通りです。
・5回終了時点で10点以上の差がついた場合
・6回終了時点で10点以上の差がついた場合
・7回終了時点でで7点以上の差がついた場合
・8回終了時点でで7点以上の差がついた場合
5・6回終了時点で10点差、7回以降で7点差がついた場合にコールドゲームが成立します。
悪天候・日没によるコールドゲーム
降雨や落雷などによる悪天候や、夜間の照明設備のない球場や球場管理上照明を使用できない場合などは、試合が続行不可能になったとして審判がコールドゲームとするか否かを判断します。
試合続行が不可能と判断する基準は特に定められていないため、雨天時の降水量などは関係ありません。
審判が試合の進行に雨が大きな悪影響を与えると判断したら、試合が打ち切られ終了となります。
尚、判断するタイミングは高校野球では7回が基準、プロ野球では5回が基準となっています。
甲子園や地方大会の決勝にはコールドゲームがない?
コールドゲームは、実はプロ野球の試合と同様に甲子園や各都道府県大会の決勝には適用されません。
高校野球特別規則(2024年版)にもしっかりと明記されています。
高校野球特別規則(2024年版)
- 得点差コールドゲーム
正式試合となるコールドゲームを採用する場合は、5回 10 点、7回7点と統一する。
ただし、選抜高等学校野球大会、全国高等学校野球選手権大会、全国高等学校軟式野球選手権大会では適用しない。
(規則 7.01(c))
実力差があまりないため
甲子園に出場しているのは、地方大会を勝ち上がったチームのみです。
実力も拮抗しているため、一時的に点数差が開いたとしても逆転のチャンスは十分あると考えられています。
逆転のチャンスがあるのに、試合を辞めさせることは出来ません。
そのため、甲子園にはコールドがありません。
甲子園という大舞台だからこそ…
毎年甲子園の関心度は高く、多くの方が観戦をし、現地やテレビ越しで応援をしています。
また、この日の為に辛い練習にも耐えてきた選手にとっても特別な時間です。
注目度が高く、選手も最後まで全力を尽くしたいという想いがあるからこそ、最後までプレーをすることに重きが置かれています。
例外は「雨天コールド」 ※2022年春より「継続試合」が導入!
甲子園には基本的にコールドゲームはありませんが、それ得点差コールドに限った話です。
これまでは、雨などの悪天候によるコールドゲームは発生する可能性がありました。
ただし、2022年春の選抜大会、夏の選手権大会に「継続試合」の仕組みが導入されました。
「継続試合」とは何なのか。
第105回全国高等学校野球選手権記念大会HPの大会Q&Aに記載されています。
Q.継続試合について教えてください。
第105回全国高等学校野球選手権記念大会 > 大会Q&A
A.天候状態などで球審が試合の途中で打ち切りを命じた場合は、行われた回数に関係なく、翌日以降に勝敗を決する(通常は9回、延長回ならびにタイブレークになった場合も含む)まで継続して試合を行うことをいいます。
つまり、審判が天候悪化により試合継続が難しいと判断した場合、そのタイミングで試合の勝敗を決めるのではなく、翌日以降に勝敗が決まるまで試合が続きます。
そう考えると、もう甲子園ではコールドゲームは起こり得ないと言えるのかもしれないね。
地方大会では決勝以外はコールドゲームあり
地方大会では甲子園とは違い、野球が強い高校からあまり強くない高校まで様々な試合が行われます。
実力差はかなり開きがあると考えられ、試合時間の短縮や選手の負担等の軽減のためにもコールドゲームが導入されています。
高校野球の最大得点差試合は?
高校野球の最大の得点差を叩き出してしまった試合についても見ていきましょう。
甲子園:春の選抜大会の点数差27点
1937年(第14回)春の選抜大会の1回戦で記録された、「兵庫代表の滝川中学」vs「埼玉県代表の浦和中学」の試合で記録された27点差です。
地方大会:青森予選の点数差122点
1998年(第80回)全国高校野球選手権大会青森予選では東奥義塾高等学校が青森県立深浦高等学校に対して122−0で圧勝。
得点・点差ともに最大となっています。
当時、青森県は7回7点差コールド制を導入しており、7回を終えるまで戦い抜いた結果がこの点差です。
その後、全国一律に5回以降10点差、7回以降7点差にて得点差コールドゲームが適用されるようになりました。
まとめ:現在、甲子園にはコールドゲームはない!
元々甲子園には「得点差によるコールドゲーム」はありません。
これは、実力の拮抗した高校同士の大会であることと、選手や応援者の甲子園にかける想いなどが反映されているようです。
また、「悪天候によるコールドゲーム」も2022年より「継続試合」という制度が導入されたことでなくなりました。
つまり、現在の甲子園においてはコールドゲームはありません。
ただし、これまでにも甲子園の規定は変わってきており、これからも状況に合わせて変わっていく可能性はあります。
個人的には、球児たちにとって良い改定なのであればどんどんしていくべきなのではないかと思っています。
ルール改定時にはネットニュースでも取り上げられることが多いので、引き続き甲子園の同行はチェックしながら観戦を楽しみましょう♪